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■oscillator "夜音 [yoru-oto]" (WEATHER040/HEADZ133, 2009/9/16 release)
reviews
「聴こえなかったものがふと聴こえる、そんな瞬間の存在を感じさせる音楽」

少し前に、可聴域というものが、年齢が上がるにつれ低下する特性を生かした「音」に関する現象が、話題になった。若者にしか聞こえず、彼らが嫌悪感を覚える高周波のモスキート音を使えばたむろ防止も可能だというその話をニュースで聞いてからというもの、年齢差のみならず、可聴域には環境や想像力の違いも影響を及ぼすのではというアイデアが、脳裏を離れない。そもそも身体能力はある程度、鍛えれば磨かれ、使わなければ萎える。それが前提だが、聴覚はおそらく、環境と想像力が加味されればいかほどにも変幻自在だ−そんな仮定もあながち妄想ではないかもと、オシレータの新作を聴いて考えた。この4人組の音をシンプルに説明すると、フルートや鍵盤楽器などの生音と、コンピュータやノイズマシンによる電子音、そしてボーカルで織り成されたデジタル・アコースティック・サウンド。とはいえ本作は、音の強弱やノイズの差し込む場所や割合をはじめ、この人たちがあたり前にとらえる「音」の豊かさは自分の日常のそれとは違う、と実感できるほどの嬉しい刺激の宝庫だ。たとえば、「記憶素子」という曲。この曲ではアナログ・レコードの針飛びが日常音とともに響くような内容が、ふとした瞬間に新たな展開を見せていく。そんな「ふとした瞬間」が彼らの曲には多く、そしてあまりに自然ゆえ、そこに自分には聴こえない音が確かに存在している気さえしてくるのが興味深い。聴きこむといつか、聴こえてくるのかもしれない。(妹沢奈美)
SPA! 2009年9月15日号
生楽器とデジタルとを静かに混交させた音作りが6年前のファースト発売時にひっそりと話題を呼んだ4人組の久々に届いた新作。点を描くように音を鳴らしながら一つの線にしていくような手法で作られているが、最終的に浮き彫りになる歌とメロディは、ちょっと大貫妙子を思わせるような不思議な温もりに満ちている(岡村詩野)
ミュージック・マガジン [2009年10月号]
東京拠点のポスト・ロック/エレクトロニカ4人組の2枚目のフル・アルバム。コンピュータによるエレクトロニック・ノイズと、ギター、フルート、ヴァイオリンといった生音を組み合わせ、透明感を漂わす女性ヴォーカルが乗る。6年前のファースト・アルバムはムームやシガー・ロスが引き合いに出されていたように、もう少しシューゲイザー/ポスト・ロック色が強かったと記憶しているが、本作ではさらに音数を絞り、空間を生かしたミニマムな楽器編成で、より余韻と響きを重視した静謐な感触に変化している。サウンド・プロダクションの完成度は相当に高く、アレンジな音色の選択も含め緻密な作りだが、重苦しい閉塞感はなく風通しがいいのは、同種のものに比べると、かなりヴォーカルの比重が高く、歌メロもポップだからだろう。言い換えると歌モノとしての自立性が高く、いわばヤング・マーブル・ジャイアンツを出自とするよなポスト・パンク〜オルタネイティブのエレクトロニカ的展開という言い方もできる。少しハスキーで低いヴォーカルはなかなか魅力的で、美しいトラックとのバランスもとれている。秋の夜長にじっくり聞くには最適な、クールさと温かさが交じり合っているような絶妙な感覚がいい。ただし、歌詞はちょっと雰囲気に流れている感じで、もう少しひねりや鋭さがあれば、と思った。(小野島大)
ミュージック・マガジン [2009年10月号]
「oscillator、6年ぶりの新作。益子樹のマスタリングの秀逸」

ヘビーなcubaseユーザーとして知られる田中誠を中心とした電子音楽ユニット、oscillator が約6年ぶりの2ndアルバムを9月16日に発表する。抽象音と生楽器をクロスオーバーさせ、女性ボーカルを載せたサウンドは初期ムームに通じる静謐さと音響的な美しさをたたえている。ミックスは田中が手掛け、マスタリング・エンジニアに益子樹氏を迎えることで自然な空気感を持った作品となった。
サウンド&レコーディング・マガジン [2009年10月号]
目覚めと眠りの狭間の電子音、幻実を描くアコースティック・サウンド。益子樹マスタリング、WEATHERよりリリースという情報で、ASLNやオーガニックな音響ポップを想起するかもしれない。空間的な電子音響はその巧みさ故、メランコリックに流れるピアノやヴァイオリンら生楽器の美しい音色から受ける感触と等しい。それは繊細な女性ヴォーカルが映し出す淡いイメージと合い重なる。<エレクトロニカ><音響/ポスト〜>などのキー・ワードで表すには不十分。絶妙なバランスで成り立つ、今語るべき純粋で良質な<ポップス>。 (水上渉)
TOWER RECORDS intoxicate [2009年vol.81]
ROVOの益子樹も関与した2枚目のフル・アルバム。ピアノやヴァイオリン、ギターなどの生音に繊細な電子音を浮かばせたサウンドと、幻想的で存在感のある女性ヴォーカルが絡み合う。それは決してドラマティックなものではなく、日常の小さなドラマを耳で感じているかのような聴き心地だ。ausやAmetsubらエレクトロニカ勢、渚にてや羅針盤など歌モノ好きも気に入るはずの、エクスペリメンタルだがとてもポップな一枚。 (宮崎淳子)
TOWER RECORDS BOUNCE [2009年10月号]
96年に結成、メンバーチェンジを経て現在4人組で活動する電子音響バンド、オシレータ。生楽器と電子音の融合、というとまはや目新しくもないが、彼らの場合、より電子音寄りなスタンスを取りつつも、最終的にポップスとして楽曲を成立させているところが特徴。ボーカル、鈴木真由美のたおやかな歌声と歌詞、柔らかくも先鋭的なサウンドデザイン、楽曲内の独特な時間の流れが何とも心地よい。マスタリングは益子樹。(近藤)
CLUB JUICE [2009年9月号]
田中誠を中心とするエレクトロニック・ミュージック・ユニットの約6年ぶりとなる新作。アーリー現代音楽を思わせるシンプルな電子音、ナチュラルなアコースティック・ギター、それに鈴木真由美のウィスパー・ヴォイスという取り合わせによる、美しく透明感に溢れた音宇宙。ノイズを強調した曲やピアノとボーカルだけの曲など変化にも富み、実験性を垣間見せているのがキモ。(小山)
indies issue [2009年10/11 vol.47 号]
4人組エレクトロ・ミュージック・ユニットの約6年ぶりとなる新作。アーリー電子音楽を思わせるオーガニックな電子音と、清涼感のあるアコースティック・ギター、さらに鈴木真由美のヴォーカルが重なって、リリカルで透明感にあふれた世界を築いている。鈴木のポエトリー・リーディングと即興的な電子音のセッションというべき曲や、くすんだノイズとささやき系ヴォイスが奇妙な造形美を描く曲など、実験精神を随所に感じさせるところがおもしろい。雰囲気モノではない、エレクトロニカの今日的な進化形といえそうな力作(小山守)
CD Journal [2009年10月号]
interviews
雑誌ヒアホン(HEAR-PHONE) VOL.3 に ロングインタビュー、 『電子音響アンサンブルoscillatorがエレガントに繋いだ「自然」と「人工」 』が掲載 。
雑誌ヒアホン(HEAR-PHONE) VOL.3

■oscillator "popularity" (Geo-006, 2003/3/12 release)
reviews
「北欧サウンズ・フロム・ジャパン。次々に台頭する"彼の地"への返答」
どこかヒンヤリとした触感、なのにしっかり掴んでみると、その中にたぎる 熱い意思を感じ取ることができる電子音楽。まるで子供のように音と無邪気に 戯れつつも、どこか知性を感じさせるサウンドメイクで、聴く者の心の中に 入り込む・・・。それが、oscillatorの『popularity』。もちろん、そんな 音楽はここ日本でも何十年も前からあったけれど、北欧の深き針葉樹林の 向こうから届けられた彼の地の音と、日本の小さなスタジオで膝をつき合わせて 作られた彼らの音が、はっきりと共振しているこのシンクロニシティ。近い匂い を感じるのは、アイスランドのmum。電子音ベースでありながらどこか幻想的な 空気を漂わせているoscillatorの音楽が、日差しの心地良いカフェやちょいと 小洒落た女の子のミニコンポのスピーカーを静かに震わせたのも、記憶に新しい。 ただ、彼らはいわゆる北欧エレクトロニカへの反応などではなく、自身の音楽を 煮詰めた結果、偶然近い触感を持つようになったのが事実のよう。発信器を意味 するバンド名らしく、やけに太いサイン波を低域に配置しつつも、バイオリンや フルート等の生楽器が軽妙に絡み合うことで、ある種寓話的な世界観が展開されて いく。若干メロディの弱さを感じるものの、それがかえって耳当たりの良さに なっている。 このoscillator以外にも、同様の手触りを持つアーティストが多数。テニスコーツ の植野、さやとDJクロックから成るcacoyは、床から数センチ浮いたかのような 奇妙な音を展開している。またanonymousは、室内楽の空気をどこまでポップ・ スタイルに変換できるかということを真摯に実験し続けるグループ。確実な 音楽理論に準拠しつつも、逸脱と構築を楽曲の中で絶えず繰り返していく。 そして、竹村延和のChildiscからの諸作品でも知られる西山豊乃の別ユニット Gutevolkや今やアート・シーンでも話題を集める高木正勝、ソロでは次々と 実験的な作品をリリースしつつライブでは弦や女性ヴォーカルを巧みに引用する 半野善弘、今年ドイツの名門Kalaole Kalkからリリースするトウヤマタケオ・・・・・・。 ドリーミーで春の日差しのようであり、空気のようにたゆたいながら、実は ミュージシャンの演奏する笑い顔が見え隠れする音楽。人肌の音とはこのような ものナリ。 文/小田晶房 (map)
SMART [2003/3/31号]
oscillatorなんて名前なので、ミニマリズムを探求するバンドだと勝手に 思い違いしていたら・・・・・・・。田中誠、佐藤貴之、鈴木真由美、天間 真澄から成るアコースティック・インストゥルメンツ+エレクトロニクスの ユニット、2001年制作のアルバムに新曲2曲を加え、リマスタリングを施し ての新装盤。幻想的で美しいメロディと、ドラマティックになり過ぎずもなお かつしっかりとした展開を散りばめた曲構成、そして甘い気怠さが妙味。 (西山伸基)
Tower Records bounce [2003/4号]
ムームやシガー・ロスとも共振しどうな幻想的なサウンドを聴かせる 4人編成のバンド。電子音とピアノ、フルート、ヴァイオリンなどが紡ぐ アンサンブルが絶妙に溶け合う。透明感のある女性ボーカルも瑞々しい。 (加藤)
remix [May 2003]
女性ヴォーカル2人を擁する6人組。ピアノやヴァイオリン、フルートといった 生楽器のアンサンブルと、精緻なコンピュータ・マニュピレートの出会いが 演出する、たおやかなポエジー溢れるサウンドは、『ミラノ』あたりの竹村ノブカズを 想起させる。注目。(佐々木敦 [HEADZ/Fader] )
SWITCH [Mars 2003]
エレクトロニカにピアノ、バイオリン、フルートなどのアコースティック 楽器と女性ボーカルをミックスしたポスト・ロック系ユニット。アバン ギャルドなスリルと和める要素を巧みにミックスし、聴く者をディープ なところへ引きずりこむ。
Weekly ぴあ [2003/03/17号]
ほんわかエレクトロニクスってジャンルがあるんですか?ほんわかって良い 言葉ですね。アルゼンチン音響派のファナ・モリーナ。アイスランドのMum。 同時代的に世界各地で生まれる素敵な音楽達。ならば、日本代表はoscillator を推薦。現代のおとぎ絵巻!!!
BARFOUT [April 2003]
「癒し系」と呼ばれる音を聴いたものの、癒されなかった・・・なんて経験、 結構あるのでは?このCD、癒し云々は謳ってないけど、癒してくれます。 電子音楽と生楽器のアンサンブルと音響を巧みに駆使した、幻想的で透き 通った旋律は、聴く者を無と静の安らかな世界へと誘う一枚。
soup [2003 vol.19 5月号]
<電子音楽+アコースティックインストゥルメンツ>プロジェクト、オシレータ のニューアルバム。ピアノ、バイオリン、フルートなどの生楽器とエレクト ロニカが融合した美しいサウンドは、日本人ながらも北欧的な雰囲気。 透明感ある女性ボーカルもグッド。
ollie girls [2003 april号]
アヴァンギャルドなゴスペル音響、もしくは音響ゴスペル・エレクトロニカ。 実験的要素を兼ね備えつつ、根底にあるのはポップ・ミュージックへの リスペクトのような、いずれにしても幻想的で神秘的な音空間と、透明感 あふれる女性ボーカルが神聖な気持ちを呼び起こす。
indies issue [2003.04/05 vol.8]
アイスランドのMumやアルゼンチンのファナ・モリーナを思わせる、日本人 アーティストのオシレータ。透明感ある女性ボーカルに幻想的で神秘的な 音が絡み合う、アコースティック+電子音響の世界が素敵。
SEDA [2003 April]
「美しくて暖かい多様な楽器のアンサンブル」
「発信器」を意味するオシレータは、DJクロックやママミルク、 サンガツなどとともにライブをしていることでもわかるとおり、 日本は送り出す音響派の最終兵器だ。ゆっくり静かに、でも力強い 音色が響く。かなり幻想的な空間が広がって、ふわーっとした 浮遊感を感じる。冷たいのに、どこか暖かい。Mumあたりを 好きな人にはおすすめです。
ASAYAN [April 2003]
GAGAKU HITCHOSHINBAN
一言では言い表せないけれど、一言でいったらポストロックと エレクトロニカがミックスして日本で発芽したような音楽。 例えていうならばシガー・ロスにドラムが無くなって日本的な 音の暖かさが加わって癒し度を増した感じ。 彼女に振られたときとかに聴くと泣いてしまいそうになりそう。
Samurai Magazine [April 2003]
The Movements「実験性とポップさを追い求めるオシレータ登場」
多種多様な楽器を用いて、類い稀なサウンドを追求する「電子音響+ アコースティックインストゥルメンツ・プロジェクト」、それが オシレータ。その彼らがアルバム『popularity』を3月12日にGeoより リリースする。ピアノ、バイオリン、フルートといった生楽器による アンサンブルと、音響やエレクトロニカ、ポストロックといった要素が 絶妙にミックスされた、温もりのあるサウンドはかなり個性的。 本作を作り上げたメンバーは、田中誠、佐藤貴之、鈴木真由美、天間 真澄、須藤美由紀、岩村幹生という6人だが、残念ながら別の方向へ 向かうべく、レコーディング後に須藤と岩村がバンドを脱退している。
sound designer [2003 april]
"電子音響+アコースティック・インストゥルメンツ" をコンセプトに 独自の発信し続けるオシレータが、新作『popularity』をジェオから 発表した。ピアノやフルートといった生楽器とエレクトロニックな音響が 融合し、神秘的な世界をくり広げている。新しいサウンドを欲する人はコレ。
Guitar Magazine [April 2003]
comments for album "popularity"
久しぶりに乗った電車で久しぶりの駅に降りた時の、あのなんとも言えない気分 かと思うと西日が差しこむ部屋で静かな気持ち 色んな気分にさせてくれる不思議なポップスだなーと思った。
mitcho (Pepe California)
第三惑星に迷いこんだ金星人たちの発信するモールス信号 ・・・−−−・・・ 点滅する青色発光ダイオード
Fuminosuke(Tsuki No Wa / 棗 )
不器用な電子音の中から浮かんでは消え、波紋のように広がるはかなく美しいメロディ。 そこにあるのは歪んだ現実と幽玄ともいえる非現実。オシレータは日常からの甘いトリップに誘う ジャバニーズエレクトロニカ新標準。
高橋 鉄兵 (界)
どこまでも、どこまでも、気持ちが漂ってしまいますね。 張りつめた静けさから、あふれる透明な青。 時折の緊張と、時折の優しさ。 白昼夢のような深い霧の中で、私はどこに行こうとしていたのかも、忘れてしまいそうです。
生駒祐子(mama!milk)
interviews
「エレクトロニカをベースにしながら、とてもメロディアスであり、 有機的な音の繋がりを感じさせるプロジェクト、オシレータ。この独自の世界はどこから生まれてくるのか?」
エレクトロニカ的な実験性の高い電子音に、バイオリンやフルートなどの 生楽器によるふくよかな音色が重なり、さらには女性ボーカルのハイトーン・ ボイスが美しいメロディを奏でる。4人組ユニットoscillatorの1stアルバム 『popularity』はそんな作品である。北欧エレクトロニカ系やアルゼンチン 音響系などとも呼応する音といえるだろう。 oscillatorの結成は96年で、当初はまだロック色が濃かったそうなのだが、 現在の中心人物である田中誠が加入した98年ころから、音楽性が変わって いった。彼には、「ポップというフォーマットの中で、決まりきったポップ の法則をなぞるのではなくて、それらをうまくずらして、独自の音を作って いきたい。」という明確な方向性があった。00年〜02年に録音した音源の 集大成と言える『popularity』には、その言葉どおりの音が詰まっている。 電子音やノイズの使い方で現代音楽的な手法もあり、かなりアヴァンギャルド に感じられたりもするのだが、ボーカルとメロディは極めてポピュラリティ が高く、総体的には聴きやすい音に仕上がっている。 「自分だけの自己満足的なものになってしまってはいけない、という意識は あって、じゃあ人に伝えるときに何がいちばん伝えやすいかと考えたときに、 やっぱりメロディがある、人が歌っている、ということなんです。でも、 ポップだけをやりたいんであれば、もっとわかりやすいスタイルになると思う んですけど、それだけではなくて、自分の中でこれも試したい、こういう形 で歌とうまく組み合わせたい、という意識があるので、それをなんとか破綻 しない程度に、ひとつの箱に収めて仕上げたということですね」 つまり、ポップとアヴァンギャルドの感覚が絶妙なのだ。さらに言えば、その 音像には独特の浮遊感があり、聴き手を寓話的な世界へと誘うような幻想性を もっているところも秀逸だ。すでに独自の世界観を確立している音といえるが、 田中は「ある完全な形というのは固まってしまう状況だと思うんですよ。 それはイヤで、常に未完成な危うさというのが好きなんです。そんな音楽を 作り続けていければおもしろいと思ってます。」と言う。今後、どう変わって いくのかが楽しみなユニットである。 (文/ 小山守)
Gb [2003年3月号]
「完成系の手前にある"危うさ"が好きなので、常に半歩未完成な作品を作っていきたいですね」
■oscillatorとは直球なバンド名ですね?
僕はバンド結成時のオリジナル・メンバーでなないのですけど、 聴くところによるといわゆる”シンセのオシレータ”ではなく、 ”通信機で使われるキャリアを発生させるためのオシレータ”から 取った名前らしいです。単語自体の響きも良かったから選んだのでしょうね。
■田中さんが入る前はどんなバンドですか?
ストーン・ローゼスみたいなバンドでした。僕は1998年に加入したのですが、 それまでバンドが作っていたポップな構成の楽曲に対し、実験的なスタンス を持ち込んだと思います。ちなみに、今でこそエレクトロニカは流行っています けど、1998年当時はかなり厳しかったです。下北沢のライブ・ハウスに出たとき も、共演相手から変な目で見られたり(笑)。
■本作のタイトル『popularity』には、どんな意味が込められているのですか?
僕らのような音楽は、現状、一般的な大衆性とは距離を置いた位置にあると 思うのですが(笑)、そこに逆説的な意味をこめて"popularity"というタイトル を。それと、うちのコンセプトとして、"ポップな音楽をやる" というものが あるので。だから、""popularity" は "pop" の意味にも取れて良いかと。
■曲作りはどのように行っていくのですか?
幾つかのモジュール的な要素を組み合わせて、1つの楽曲を構成していくんです。 最初に電子的なノイズやリフ、メロディの"モジュール"があって、それらを 組み上げていく感じです。
■曲作りはメンバー全員で?
基本的な枠組みは僕とギターの佐藤(貴之)で作りますが、そこからは全員で アイデアを出し合っていきます。メンバーそれぞれの個性が相互作用して 面白い効果が出るんです。
■レコーディング機材はどういうものを?
実は、この作品は非常に制作スパンの長いもので、1999年から2001年にかけて 作られているんです。制作初期のころはAKAI PROFESSIONAL DPS12 と ROLAND VS-1680 を使っていました。
■オーディオ編集はそれらのHDRの中で?
しました。細かく切り貼りしてみたり、今考えると当時は大変でしたね(笑)。 制作の後半では、コンピュータを導入したので、視覚的にも作業が楽になりました けど。
■コンピュータは何を使用していますか?
PentiumIII/1G Hz の自作Windowsマシンです。ソフトは制作当時はsteinberg cubase vst で、最近は cubase-sx をを使っています。僕はもともと情報系の 研究をしていたので、Windows や UNIX ni非常になじみがあったんですよ。
■サンプラーは何を使用しているのですか?
本作ではいわゆるサンプラーは使っていないんですよ。生演奏したものをレコーダ に録って加工する・・・・・・。いわば録音した素材のアフター・プロセッシング です。それをサンプリングと判断するかは微妙ですね。
■フィールド・レコーディングもしていますね?
はい。公園とか街の雑踏の音とか。それから野外ではないのですけど、冷蔵庫の "ブーン"という低周波の音を使っている曲もあります。
■音源機材には何を使っていますか?
KORG Trinity Pro と CLAVIA Nord Moduler です。電子音に関しては、NATIVE INSTRUMENTS Reaktor 等のソフトウェアや佐藤が自作した機材を使っています。 自作機材では、例えば、電磁波を外部から拾って増幅する装置に、ディレイ機能 やゲルマニウム・ダイオードによる非線形歪みを付加したものなどを使いました。
■田中さん自身もよく機材を自作する?
いえ、僕はコンピュータがメインなので、ハード機材の自作はあまりしないです。 でも、壊れた機材とかは中を開けないと気が済まないですね(笑)。直す直さない は別として、中の基版を見るのが楽しくて。
■ズバリ本作の満足度はどのくらい
僕は完成されたものよりは、完成手前の"危うさ"が好きなんです。これからも 常に半歩未完成な作品を作り続けられればいいと思います。
SOUND & RECORDING MAGAZINE [2003年4月号]