それはまるで、ありきたりの朝だった。
けれどもこの朝は2度と来ない事をしっているし、
だからこそそれを、そのまどろみを、
十分に感じとりたかった。
何物にも汚されたくないなどという資格はないはずなのに、
それを、そのやわらかい陽ざしの差し込む都会の朝を、
だれにも邪魔されたくなかった。
はっきりしない意識のまま、濃いめのコーヒーを飲みたくて、
なんとなく北欧風のカフェを見つけて入る。
全体的にとってつけたような北欧風のそのカフェは、
店員の口調もそのメニューも味もなんとなくぎこちなく、
いまの僕の気持ちそのままだった。
何も考えたくなくて、コーヒーを手に持ったまま
しばらく人通りのある店の外をみつめる。
とくに混んではいない店内で、昨日の出来事をぼんやりおもう。
時間がきて店をで出ると、なんて柔らかい都会の陽ざしだろう。
爽やかでなにか自信に満ちたような、
たっぷりの陽ざしが差し込むプラットホームに電車がすーっと入ってくる。
まるで夢から現実にゆっくりと意識を戻されるように。
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