旅するたびに思うことは、
わたしの知らない地球のどこかでそれぞれの、
無意識の日常が存在しているということだ。
その無意識の日常を覗きにゆく為に旅をしているのかも知れないし、
単純に自分にとっての非日常を体験したいという欲望のために、
旅をするのかもしれない。
わたしにとっての旅は、外部からの刺激そのものであって、
それは繰り返される日常から脱け出すための方法であると同時に、
繰り返される日常に切りこみを入れてくれるような存在なのかな、と思う。
日常が日常である以上、
それはほぼ基本的に『日常』なのだと仮定したとき、
私は常に何かや誰かによってそれに切りこみを入れてほしいと思っている。
要するに、わたしの中の固定観念や既成概念に切り込みを入れてほしいのだ。
私にとっての旅とは、まさに日常を切り裂いてくれる事のひとつであり、
同時にそれは日常の中にも存在している。
そしてそれを見逃さないようにするのが、
わたしがしなければならないことかも知れないし、
実際自然にしていることなんだと思う。
あらゆるひとたちの日常を、
想像することが旅することではないだろうか。
そしてそれは、本当は旅などしなくても、
その毎日の想像力のなかで可能なことなのではないか、
随分前から、そんな風に感じていて、
そんな日常と旅の間をわたしの意識は行き来している。